神経障害性疼痛

馴染みのない言葉かもしれませんが、最近時々TVで有名な俳優さんがアピールしていますので聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?

神経障害性疼痛は文字通り神経自体が損傷して起きる痛みです。

神経が損傷すると、もちろん侵害受容性疼痛と同じメカニズムが働きますが、この場合は神経自体で炎症が起きますからそれだけでも激しい痛みが起きます。

通常のケガでも、綺麗に治る場合もあれば、なぜかいつまでも直りが悪かったり、傷が瘢痕化してしまったりする事があります。

体の表面のケガであれば目で見ることができますから傷の状態は比較的把握しやすいのですが、神経のケガの場合、多くは実際に目で見ることが出来ませんからなかなかその状態の判断は難しくなります。

そのような場合には、その代表的な症状から原因を推察せざるを得ません。

神経障害性疼痛の代表的な症状としては、まずこのような症状が多くあります。

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正座をして痺れが切れた後に感覚が戻ってくる時、「ビリビリ」「ジンジン」「チクチク」といった痛みが出ますね!

このような比較的穏やかな表現をされていますが、帯状疱疹やヘルニアによる神経根症などの痛みは正座の後の痛みなど比較にならないぐらい激烈な痛みです。

このような痛みは、しばしば「電気が走るような」とか「焼けるような」と表現されますが、この様な痛みの原因は神経自体が異常興奮を起こしていると考えられています。

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さらに深部痛と言われる、奥のほうの疼くような痛みを伴う事があります。

このような痛みは温めると楽になる事が多いため患部での血流低下が疑われます。

神経自体の激しい痛みによって交感神経が過度に緊張し、これによって損傷部位の血流が異常に低下してしまっているのかもしれません。

また、Allodyniaと呼ばれる痛みも起きることがあります。

正座をして痺れが戻ってくる途中で、ちょっと触られても強い痛みを感じる、あの状態です。

服がこすれるだけでも激しい痛みが出るため患部に触るのも困難となります。

これも神経の異常興奮の一つではありますが、最近では脊髄後角という、神経が脊髄に入るところでの情報伝達の再構築による伝達異常が原因ではないかと言われています。

そのほかの神経因性疼痛

神経障害性疼痛のメカニズムは、実はこれら以外にもまだあります。

その中で比較的多いのは手術後の痛みです。

手術による傷の治癒は、癒着という組織修復です。

どんなに上手な術者が手術をしたとしても、この癒着という創傷治癒過程で神経線維の巻き込みがおきたり、とても細い神経の切断部位に神経腫というものが出来ると創部痛が起きてしまいます。

癒着はケガが治るのと同じ仕組みなので、ケガの治り具合がその時々で違ってくるのと同じですから、手術の後にこの創部痛が出現する可能性は常にあります。

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